shaula

愛すべき赤の他人

【卒論より】方向音痴/ハルト【もう無理書けん】

卒論提出まで残り1か月ほどとなった昨年11月末、冗談抜きに白紙の原稿から全力で逃げていた。留年ダービー首位から奇跡の復活を遂げて進級し、1年生並みの時間割をこなした4年春を経て、今ここで必修8単位を落とすなんて馬鹿な真似は許されない。さす…

ルージュの楔

件の赤い染みに気がついたのは昼間、洗濯物を干しているときだった。翌日には出かける予定が入っていた。服装に特段の知識もこだわりもない僕は、いつものように白いシャツと明るめの藍のデニムで出かけるつもりでいた。しかし着ていくはずだった白いシャツ…

柄じゃない

232日もほったらかしていたブログのことを思い出した。 留守にしている間、いろんなことがあった。デイライ協奏楽団を語ったユニゾンファンの記事なんか、すてきなコメントをいただいていた。ありがたい(ライトフライトのこと、書きますね)。 柄じゃないから…

締まりのない話

部屋は片づいていないけれど別にいい。大切なギターは好きな人に預けた。あとで伏線に気づいたらあいつは泣くかもしれない。返信していないメッセージもない。ないけれどあいつにまた明日ねって送っちゃったっけか。まあいい。それから、遺書。遺書も書いた…

ルダスの悪い癖

ライターの音は憚らずに鳴るきみが目を覚ましてしまうかもしれない昏い部屋で何も知らずに眠るきみとお別れをしなくちゃいけない 夢は見るものじゃなく 消えて忘れゆくもの安らかな恋を叶えられたら じきに朝がくる 煙草のけむりが目に滲みて痛いな涙なんか…

愛おしい共犯者──デイライ協奏楽団

ロックバンドはかっこいい 明けました。めでたい。めでたいことがいっぱいだ!あいつらが新しい歌を引っ提げて、またぼくらの街にやって来るというのだから! UNISON SQUARE GARDENというバンドがある。 子どもみたいに純粋で、少年みたいにひねくれもので、…

アムネシア

玄関のチャイムは鳴らない。テレビはこの家にない。話し相手もいない。音楽もかけない。ただ、ぼうっとしているだけだ。何も考えないでいるのと、集中してぐるぐる思考をめぐらせているのと、そのどちらでもあるような、中間にいるような。昨日の記憶もあや…

誤算

付き合ってほしい。結局それしか言えなかった。たくさんたくさん考えて練習してきたはずなのに、好きとすら言えなかった。今更つけ足そうにももう遅くて、金縛りにあったように固まったまま返事を待っていた。 「ごめん」 その一言で、解凍された心臓が鳴り…

恋のあとがき、トゥルーエンド

最後の言葉は彼らしくさっぱりとしていた。深さが足りないんじゃなく、涼しげな雰囲気をまとう彼によく似合う答え。彼はどこまでいっても、わたしの恋したあのひとでいるのだった。 手の届かないところにいる人だと、はじめから分かっていた。諦めては惚れて…